高齢になると爪の伸びが遅くなるため、爪切りの頻度が減っていく。高齢者のなかには足のケアは入浴をして終わりという方もいるが、しっかりとフットケアをしないとさまざまな問題が発生する。例えば爪を切らずに放置しておくと、分厚くなって容易には切れなくなるのだ。また爪が靴下に引っかかって痛みを感じたり、自分の足爪が肌に触れたときに傷をつけたりするリスクもある。こうしたトラブルを未然に回避するためにも、介護士主導でフットケアを行っていく必要があるのだ。
フットケアで注意するべき問題は、異変を素早く察知することだ。他の部位と比べて明らかに冷えているならば、血液循環が停滞している可能性大だ。冷えは痛覚を鈍らせるので、足をぶつけても痛みを感じにくくなり、腫れを放置しておくなどの問題につながることがある。足が赤くなったり太くなったりした場合は、炎症のリスクを考えよう。ブヨブヨとした状態はむくみが原因である可能性が高く、こちらは血液やリンパの流れが停滞しているケースが多いのだ。
高齢者のフットケアでは乾燥対策も欠かせない。足裏が乾燥するとひび割れの原因になり、歩くときに痛みを感じるようになる。通気性の悪い靴を履き続けていると、水虫の発症率を高めてしまう。高齢者のなかには自身が感じている不調をうまく伝えられずに悩んでいる人が大勢いることを知っておこう。だからこそ介護士が高齢者の目となり、早めに異常に気づくことが大切だ。